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ショート・ショート。

中空を見つめ煙草の煙を僕に吹きかけてくる彼女。僕より5つも歳が離れているのに子供騙しのような事をする。黒髪のショートヘアーがよく似合う彼女の横顔は何度見ても胸がときめく。地元テレビ局のありきたりな質問に答えている、通りすがりの女子大生2人組を一瞥しながらも只々、喫煙行為を楽しんでいるようにみえる。今日は余程気分が良いのだろう。

ありきたりな毎日は永遠と云う絶対的不可避事項に縛られることなく、その日その日に色を変え過ぎ去っていく。

彼女の吐いた残り香は煙草本来のニコチン臭と彼女本来の口臭とが混じり合い僕の大好きな匂いになっている。そんな思考が頭の中で過ぎりつつも、不意打ちのように彼女はこう言った。

「茶髪量産型にわかサブカル糞野郎に周囲の輩は合わせているのか、敢え無く合わさせられているのか、君はどう思う?」

相変わらず毒舌な彼女だが、世の若者の情勢を捉え的確な質問をしてくる彼女には頭が上がらない。

僕は一定の間を置いてこう答える。

「自我を貫くことは年を重ねるごとに難しくなっていくと思う。況してや大学生活においては尚更かな。周りに溶け込んでカメレオン化することで、ようやく落ち着いたスクールライフを送れるんだよ。思考を停止して、趣味・思考を画一化して、たわい無い話に適当に相槌を打って、プライベートまでもSNSで繋がって互いに監視して、自分自身の時間を減らしても友好関係の崩壊を恐れて日々を送ってるんだよ。」

少し伸びた前髪を払い、短くなった煙草を携帯灰皿でもみ消しながら彼女は
「ふーん。じゃあ私達は周りにどう見られているのかな。」

軽い目配せの後、僕の頬に軽く唇を合てた。